烏 なぜ啼くの
烏は山に
可愛七つの
子があるからよ
可愛 可愛と
烏は啼くの
可愛可愛と啼くんだよ
山の古巣に
いって見て御覧
丸い目をした
いい子だよ
野口雨情
1921
烏 なぜ啼くの
烏は山に
可愛七つの
子があるからよ
可愛 可愛と
烏は啼くの
可愛可愛と啼くんだよ
山の古巣に
いって見て御覧
丸い目をした
いい子だよ
野口雨情
1921
どんぐりころころ ドンブリコ
お池にはまって さあ大変
どじょうが出て来て 今日は
坊ちゃん一緒に 遊びましょう
どんぐりころころ よろこんで
しばらく一緒に遊んだが
やっぱりお山が 恋しいと
泣いてはどじょうを 困らせた
青木存義
1921
今日は針の気げんがわるい
三度も指をつついてしまつたし
なかなか 糸もとほらなかつた
プッツ プッツ プッツ プッツ ──
針は布をくぐつては気げんのわるい顔を出しました
「お婆さん お茶にしませう」と針が
だが
お婆さんは耳が遠いので聞えません
尾形亀之助
「色ガラスの街」所収
1925