猫の眼月

嵐がやんで

大きくくぼんだ空に

低く 猫の眼のような月が出てゐる

私の静物をぬすんでいつたのはお前にちがひない──

嵐のあとを

お前がいくら猫の眼に化けても

お前に眼鏡をとられるようなことのないやうにさつきから用心してゐる

 

尾形亀之助

色ガラスの街」所収

1925

 

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