鳥の意思、それは静かに

時間がないと

あなたの声がして

水色のひかりが

瞬き続けるのが見えた

 

深淵を覗き込もうとする無数の眼を

ひたすらかき分けて進む

子どものような眼で

誰も知らない街へ会いにゆきたい

 

わたしたちは違うが故に平等であると

思うのだけれど

その意識はほんとうか

誰もが理想を隠し持っていて

そのことは驚くにはあたらない

 

一本の線から

たちまち拡がってゆく概念が

わたしを怯えさせ

そして支え続けている

地平に燃え拡がってゆくのだ

静かに 簡潔に

意思となるだろう前提を秘めて

遠く

 

静かな瞬きは

やがて白く大きな鳥に変わり

我々を乗せて

ずっと淡くけぶる水平線の向こうまで

飛んでゆくのだ

 

宮岡絵美

鳥の意思、それは静かに」所収

2012

One comment on “鳥の意思、それは静かに

  1. 「この鳥の意思、それは静かに」は宮岡絵美さんのご許可をいただき、転載しております。
    理想が静かな語り口で記述された静謐なイメージの詩だと思います。

    この詩が気に入られた方は下記のLinkも是非、ご覧になってください。

    宮岡絵美ホームページ
    「生きとし生けるもの、いづれか歌をよまざりける」
    http://www.eonet.ne.jp/~tobeistodo/

    詩集 「鳥の意思、それは静かに」
    http://www.amazon.co.jp/%20%E9%B3%A5%E3%81%AE%E6%84%8F%E6%80%9D%E3%80%81%E3%81%9D%E3%82%8C%E3%81%AF%E9%9D%99%E3%81%8B%E3%81%AB-%E5%AE%AE%E5%B2%A1%E7%B5%B5%E7%BE%8E/dp/4896292456/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1335585345&sr=8-1

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