詩集の美。
今回は藤本徹さんの「青葱を切る」を紹介いたします。
白いシンプルな素材の紙にポンと配置された葱。青葱とはいいつつも、その色合いは黒に近く水墨画のような印象を受けます。鮮やかな色は避けられ、シンプルな色彩が選択されています。タイトルの手書き文字もさりげないですが、実に味わい深いです。
裏側にはその青葱を切るための包丁。表紙とは反対の左側に配置されたやや幅広の洋包丁です。
イラストは西淑さん。ホームページを拝見した所、普段はもっとカラフルなイラストを描かれているようですが、この詩集では敢えてそこを抑えて控えめなトーンでまとめられています。
ちなみに小さいシールで1800とあるのは、手書きのお値段シール。私家版のため、ISBNコードやバーコードは印刷されていません。個人的なことですが、私はあの醜いコードを心から憎んでいるので、嬉しいですね。
版型は少し大きめの文庫くらいのサイズ。押し付けがましさのない、さりげない存在感がよいです。
藤本徹さんの16篇の詩が載っています。トータル105ページ。ひとつひとつが比較的長めです。それぞれの詩篇にストーリーラインがあり、まるで短編小説のように読ませます。面白いのは、作品ごとに詩の主体が「わたし」「おれ」「あたし」と男女の間を切り替わっていくところ。
読者としては、詩の語り手=作者と思い込んでいるところがあるので、「あたし」が語り手になった時は少し虚をつかれた感じがしました。
藤本徹さんは1983年生まれ。2011年よりユリイカ、現代詩手帖に詩を投稿し始め、この「青葱を切る」が第一詩集だそうです。
今回、この「青葱を切る」から「檸檬」を紹介させていただきます。中でも最も構成の妙が際立っている作品と感じました。
私家版のため、入手は少し困難かもしれませんが、とても良い詩集です。興味を持たれた方は是非どうぞ。
入手方法はコメント欄にて。
「青葱を切る」を取り扱っている書店は作者のTwitterで紹介されています。
東京、大阪、京都の書店が中心です。メールでの申し込みも可能です。
藤本徹Twitter
@fujimoto_toru_
イラストの西淑さんのTwitterとホームページはこちら。
西淑 twitter
@nishi__shuku
ホームページ
http://nishishuku.net/
こんにちは。
『青葱を切る』はこちらでは購入できませんか?