待ちぼうけ

待ちぼうけ 待ちぼうけ

ある日 せっせと 野良かせぎ

そこへ兎が飛んで出て

ころり ころげた 木のねっこ

 

待ちぼうけ 待ちぼうけ

しめた これから寝て待とか

待てば獲ものは駆けて来る

兎ぶつかれ 木のねっこ

 

待ちぼうけ 待ちぼうけ

昨日鍬取り 畑仕事

今日は頬づえ 日向ぼこ

うまい伐り株 木のねっこ

 

待ちぼうけ 待ちぼうけ

今日は今日はで 待ちぼうけ

明日は明日はで 森のそと

兎待ち待ち 木のねっこ

 

待ちぼうけ 待ちぼうけ

もとは涼しい黍畑

いまは荒野の箒草

寒い北風 木のねっこ

 

北原白秋

1924

 

栄人有耕田者

田中有株

兎走触株

折頚而死

因釈其来而守株

冀復得兎

兎不可復得

而身為栄国笑

 

「韓非子」 五蟲 第四十九

 

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