詩集の美、第3回目は杉本真維子さんの「裾花」を紹介いたします。
「裾花」は杉本真維子さんの3冊目の詩集で2015年の第45回高見順賞を受賞した作品です。
まず目を引くのがこのビビッドな赤い色です。
白地に赤い文字、赤地に白い文字と鮮やかなコントラストが美しいですね。
写真では分かりにくいのですが、この表紙は実は一枚の紙を折ってこのような形になっています。
つまり、表が赤、裏が白い紙の上下を折りこんで、このように一つの表紙としてまとめているのですね。
広げてみるとこんな感じです。
このような一風変わった紙使いが、特殊な効果を生んでいます。
私は、まるで人間の皮膚がぱっくりと割れて赤い血が覗いて見えるような感覚を覚えました。
この詩集の内容にぴったりの素晴らしい装丁だと思います。菊地信義さんの仕事です。
菊地さんは、詩や小説の装丁を作る際は、内容を読み込んで、どうすれば、それを人に伝えられる形に翻訳できるかを考えるそうです。菊地さんはこの赤で「裾花」の何を伝えようとしているのでしょうか?
カバーを取るとこのようになっています。完全な赤色です。
「裾花」には24編の詩が収められています。そのどれもが高密度でぐいぐいとせまってくるような迫力があります。
私はまぎれもない傑作だと思います。
当サイトにて「裾花」から一篇、「一センチ」を紹介させていただいています。
是非皆さんも読んでみてください。
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どう読めばいいのか、どう名作なのか、わからなくてつらいです。現代詩の読み解き方が分からないのです。
まったく、です。