あきらめのない心

わが子のあらんには

夏はすずしき軽井沢にもつれゆき

ひとの子におとらぬ衣をば着せんもの

こころなき悪文をつづり世過ぎする我の

いまは呆じたるごとき日をおくるも

みな逝きしものをあきらめかねるなり。

 

ひとびとはみなあきらめたまへと云へども

げにあきらめんとする心、

それを無理やりにおしこまうとするは

たとへがたくおろかなり。

あきらめられずある心よ

永くとどまれ。

 

室生犀星

忘春詩集」所収

1922

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