候鳥回歸

酸素の希薄な上空に群れ

 南へめざす候鳥の飛翔

  鳴膜管を秋に鳴らし

   本能の焦る方角へ

    悲しく鼓翼する

     花雲は映えて

      微塵は亂れ

       空に散る

        天末線

         落暈

          海

           ・

 

石川善助

亜寒帯」所収

1936

One comment on “候鳥回歸

  1. 天末線という語は宮沢賢治の影響だろうか?11,10,9,8,7,6,5,4,3,2,1おもしろいこころみだ。天末線、落(?)、海。落(?)というのは沈む太陽のことだろうか?

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