わらいのひらめき

あのしめやかなうれいにとざされた顔のなかから、

おりふしにこぼれでる

あわあわしいわらいのひらめき。

しろくうるおいのあるひらめき、

それは誰にこたえたわらいでしょう。

きぬずれのおとのようなひらめき、

それはだれをむかえるわらいでしょう。

うれいにとざされた顔のなかに咲きいでる

みずいろのともしびの花、

ふしめしたおとめよ、

あなたの肌のそよかぜは誰へふいてゆくのでしょう。

 

大手拓次

藍色の蟇」所収

1936

 

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