あかんぼ 昨日うまれたあかんぼを、 その眼を、指を、ちんぽこを、 真夏真昼の醜さに 憎さも憎く睨む時。 何かうしろに来る音に はつと恐れてわななきぬ。 『そのあかんぼを食べたし。』と 黒い女猫がそつと寄る。 北原白秋 「思ひ出 抒情小曲集」所収 1911