こぞの冬

十一月の風の宵に

外套の襟を立てて

明石町の河岸を歩いたが

その時の船の唄がまだ忘れられぬ。

同じ冬は来れども

また歌はひびけども

なぜかその夜が忘れられぬ。

 

木下杢太郎

1910

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