紅い夢

茜と云ふ草の葉を搾れば

臙脂はいつでも採れるとばかり

わたしは今日まで思つてゐた。

鉱物からも、虫からも

立派な臙脂は採れるのに。

そんな事はどうでもよい、

わたしは大事の大事を忘れてた、

夢からも、

わたしのよく見る夢からも、

こんなに真赤な臙脂の採れるのを。

 

与謝野晶子

1942

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