春高楼の花の宴
巡る盃かげさして
千代の松が枝わけ出でし
昔の光いまいずこ
秋陣営の霜の色
鳴きゆく雁の数見せて
植うる剣に照りそいし
昔の光いまいずこ
いま荒城の夜半の月
替らぬ光たがためぞ
垣に残るはただ葛
松に歌うはただ嵐
天上影は替らねど
栄枯は移る世の姿
写さんとてか今もなお
嗚呼荒城の夜半の月
土井晩翠
1901
春高楼の花の宴
巡る盃かげさして
千代の松が枝わけ出でし
昔の光いまいずこ
秋陣営の霜の色
鳴きゆく雁の数見せて
植うる剣に照りそいし
昔の光いまいずこ
いま荒城の夜半の月
替らぬ光たがためぞ
垣に残るはただ葛
松に歌うはただ嵐
天上影は替らねど
栄枯は移る世の姿
写さんとてか今もなお
嗚呼荒城の夜半の月
土井晩翠
1901