港の人

無は一つみたいだけれど
じつにたくさんある

必然をいくら細かに砕いてみても
ちっとも
偶然はでてこない

海の教訓は
とてもきびしい
でも
もっときびしくしてもいいとおもいながら

午後
やました公園をひとまわりして
部屋に帰って
静物の位置をすこしなおす

北村太郎
港の人」所収
1988

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