水底で星になることだってできる

時間の経過に身をまかせるなら
みずからときをきざんでたゆたい
空をひろげていって だから
物のつながりで今を判断するな
ぬるぬりのぶすぶさの泥ねいのみぞで
ポリプのように生きるとも
水底で星になることだってできる
つくることをすっかり忘れ
事物を分析し きらめく糸をつむいでいけば
わたしは蓮華の下で落花生となり
浮きあがり
見えない風の滝のぼり
いつまでもうずまいている
あれらの球はくびれがあって
つきでているのに
まんなかはぬれているくぼみではないか

岡田隆彦
「海の翼」所収
1970

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください