〔丁丁丁丁丁〕

     丁丁丁丁丁

     丁丁丁丁丁

 叩きつけられてゐる 丁

 叩きつけられてゐる 丁

藻でまっくらな 丁丁丁

塩の海  丁丁丁丁丁

  熱  丁丁丁丁丁

  熱 熱   丁丁丁

    (尊々殺々殺

     殺々尊々々

     尊々殺々殺

     殺々尊々尊)

ゲニイめたうとう本音を出した

やってみろ   丁丁丁

きさまなんかにまけるかよ

  何か巨きな鳥の影

  ふう    丁丁丁

海は青じろく明け   丁

もうもうあがる蒸気のなかに

香ばしく息づいて泛ぶ

巨きな花の蕾がある

 

宮沢賢治

疾中」所収

1930

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