生と死

毒薬をのんだバラが
青空にすがる。
肉体よ
死んではいけない。

この人生を
言ひくめるのは
死をあつかふほど
らくなことではないが、

死んではいけない。
ひけめでしかない
祖国のためにも、
愛するものの為にも、

まして、あの破廉恥な
ボス共のためにも
奴らのいふ自由や
正義のためにも、

金子光晴
屁のやうな歌」所収
1962

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