少年

あるひはその小川の流れに沿つて桑畑が靡いてゐて
犬も少年達も万年筆を食べたやうに青い舌を出す
この少年達はてんでに蕗の葉をささげてゐたが
その蕗の葉のなかで桑の実がチャンピオンインクのやうに光る

北園克衛
夏の手紙」所収
1937

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