読書

書物を開くと
ぼくらの中に遠い世界がひろがる
乾いた幹を飢えた稲妻がたおすとき
こんな不安な夜の中で
ひとはたがいの存在をたしかめ合う
灯をつけるように
ひとはお前の開かれたところへ来て
静かな休息をみいだす
やさしい祈りや愛をみいだす
その一つは世界のひとびとにつづく
すべての知恵のしるし
お前のかなしみにひかる声によって
ぼくらの人生は慰められる
燃える叢をよこぎって
ひとが昼間ずっとあるいてきた
強烈な夏の日の思想とともに

秋谷豊
「冬の音楽」所収
1970

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