絶景 ひっそりと抱きあったまま 谷底へ墜ちてゆく蝶 無常なほどにも美しく そこに湛えらえている深淵 その上でひらりと別れ こんどは絶壁に沿うて なおも相連れして のぼってくる 伊藤桂一 「定本・竹の思想」所収 1964