草をみれば、
草というだけだ。
ことばは、
表現ではない。
この世の本のなかには
空白のページがある。
何も書かれていない
無名のページ。
春の水辺。夏の道。
秋の雲。冬の木立。
ことばが静かに
そこにひろがっている。
日差しが静かに
そこにひろがっている。
何もない。
何も隠されていない。
長田弘
「世界は一冊の本」所収
1994
草をみれば、
草というだけだ。
ことばは、
表現ではない。
この世の本のなかには
空白のページがある。
何も書かれていない
無名のページ。
春の水辺。夏の道。
秋の雲。冬の木立。
ことばが静かに
そこにひろがっている。
日差しが静かに
そこにひろがっている。
何もない。
何も隠されていない。
長田弘
「世界は一冊の本」所収
1994