眠りにつくとき
満潮のようにひたひたと胸を圧してくるものはないか
たとえば くらい獣のような思いはないか
そしてまとまりもつながりもないことを思っていると
頬を濡らしてくる熱いものはないか

おまえたちが眠りにつくとき
まぶたの上でかたはなされた山鳩が鳴きはしないか
ほろほろと──
おまえたちはそれをききながら眠りにおちていくのだろうか

高木護
「夕焼け」所収
1965

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