心にひとかけらの感傷も

心にひとかけらの感傷も持たないやつが
  冬の隅田川を渡ってゆく
    愛もなく
      鳥もいない宇宙に向かって

心にひとかけらの勇気も持たないやつが
  肺をタールでいっぱいにして
    子供の首を洗っている
      絶望的な夕陽の溢れる隅田川で

ぼくは長い旅をした
  三十年かかっても計算できない道のりを
    横倒しの女たちといっしょに
      たったひとりで

ぼくが近づこうとしているのは
  たぶん風でつくられた
    変幻自在の見えない都市だ
      男が子供を産みはじめる苦痛の都市だ

ぼくは征服者の善意を信じないように
  あざむかれた階級の
    心からの悪意を信じることができない
      お願いだ せめて

生まれようとする無垢に
だれもさわるな

大岡信
大岡信詩集」所収
1968

One comment on “心にひとかけらの感傷も

  1. ナイ が 本然 。 が アル

    ダ、カラ コソ 〝生 〟 は

    嬉しい。 し 。 又。 苦しい。

    嬉楽 🔃 辛苦

    正(+) 🔃 (-)負 = 0

    無の指向 = 🔸無常 = 無 が 常態

    = 未完成ノ無 ゆえに 無気づく

    無,..! siki宇宙空間一切アル ~

    ~ 自然消滅 = なにも残らないナイ

    = 無ノ完成 = 永遠終焉 。

    の ために (だけ) ある 宇宙 。

    ( 宇宙空間人間一切 にとっての)無

    = 永遠終焉

    ⭕️🐬 “ナイ〟 は、創ラれない、ってこと

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