紙飛行機

たくさんの屋根から
自分の屋根をみつけるのは
飛んでいるものたちにとっては
容易なことらしかった
いま母親の魂が夜の空を
自在に飛んできて
自分の屋根を探しはじめた
自分の屋根は高い屋根と
高い屋根とにはさまれた
低い屋根であったが
またたくまに母親は
自分の屋根をみつけて
まっしぐらにおりてきた
屋根にはなんのしるしもなく
雨樋に紙飛行機が
ひっかかっているだけだ

広部英一
「邂逅」所収
1977

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