はなのふじ

まひるまにゆめのように咲くはなのかぎりを出て
出てゆくあなたに肩をならべてあるきながら
わたしのあしはゆめを踏んで
ゆめを出るうつつを踏んで
わらうあなたがはなにみえるゆめのまひる。
ふじのはなが
その名のふじが
わたしをからめたふじのいろを咲いているのを知りもせずに。
はなの岸にあるいていって
名のないあなたに溶けるときに
はなのまひるに咲いていたのを知りもせずに。

三井葉子
まいまい」所収
1972

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