あなたに

わたしが 眠っている間
わたしの少しずつが
見えない 揚羽にでもなって
ひらひら 飛び立ってゆくのではないか
そんな具合に 少しずつ
私は 減ってゆくのではないか
減りながら
そしてわたしは
岩になってゆく
かやくさになってゆく
鵠になってゆく

信じてくれますか
しんじつ めざめのたびごとに
こうして わたしは
別のもの
おもいがけないものにと
変りはててゆく
あなたと わかれてからのわたしは・・・・

高野喜久雄
「存在」所収
1961

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