道へ

それぞれのはじまりについて、わたしはなにもしらないが、はじける泡の生じるさまを眺めるくらいはしていたはずだ

(星々の獣道)にたって、草木の靡くのに耳をすませていたのだったか、蜜蜂や蝶の描くおぼつかない風の起こりを嗅いだのだったか、いずれにしてもこまかな粒のその内側へ、封じられた声を辿って虹はたなびき、いや、蛹や繭が雨露のあたたかさに揺すられたのか

やがて櫻の葉のふちに指をそわせ、蟬が啼くのにくすぐられた胸に、桃や枇杷の種を宿す

鶯の歌も、遠い街の花火も、幻想は波のうえでだけ舞うのであって、乾いた土が濡れるのはただ、紙片がめくられつづけるからだ

狸を見たか
はたして陽炎が産毛に抱かれる日に
かれらの瞳は走ったか
笹笛をさずけて

まりにゃん
現代詩投稿サイト「B-REVIEW」より転載
2017

One comment on “道へ

  1. 「道へ」は現代詩投稿サイトB-REVIEWで2017年9月B-REVIEW杯に選ばれた作品です。
    B-REIVEWは現代詩の投稿サイトで、掲示板による詩の合評を行っています。今、大変熱く盛り上がっています。
    URLは下記です。

    http://breview.main.jp/index/

    Twitterはこちら

    @breview_jp

    当サイトでは、その内の幾つかを掲載させていただくことになりました。
    協力しあいながら、現代詩の世界を広げていけたら、と思っております。

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