ふりむかないでゆくだろう
小さな親切や赤い羽根
救世軍や歳末助けあい運動
それらあたたかいものに背を向けて
一人で去って行くだろう
暗いいんうつな風のなぎさを渡り
くれないの冷めたき原野
だいだい色の寒き海辺を歩き
マンザニータの荊なす樹海を乗り越えて
誰も見送るもののないままに
億兆の生物の痛々しい叫びを求め
ふるえる太初からの松明の光のなかを
世界中の美しい別れのうた
さようならのうたをうたいながら
村上昭夫
「動物哀歌」所収
1967
ふりむかないでゆくだろう
小さな親切や赤い羽根
救世軍や歳末助けあい運動
それらあたたかいものに背を向けて
一人で去って行くだろう
暗いいんうつな風のなぎさを渡り
くれないの冷めたき原野
だいだい色の寒き海辺を歩き
マンザニータの荊なす樹海を乗り越えて
誰も見送るもののないままに
億兆の生物の痛々しい叫びを求め
ふるえる太初からの松明の光のなかを
世界中の美しい別れのうた
さようならのうたをうたいながら
村上昭夫
「動物哀歌」所収
1967