落葉松

昨日 林でみかけた人、だがあの人ではない。

 

どうしたのだらう、帽子を手に持つて、私は何を考えていたのだろう。

 

「今晩は 今晩は。」

樹々の奥で、霧の奥で、燈火がともる。

 

津村信夫

愛する神の歌」所収

1935

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