たびびと

地球生成の かげを 辿って

あるいてゆく 人がいる

 

永久に 空っぽの ルックを背負い

やぶれた 認識の シャッポを かぶり

 

露出した 観念の 岩と岩の間を

秋天に 浮かみ出たり また隠れたり

 

こんな わびしい 涸渇の道を

その人は 一人で あるいている

 

蔵原伸二郎

乾いた道」所収

1954

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