危険な先端

すべてのものが先端から落ちる、
いつの間にか、不意に。
銀杏の梢から最後の葉が落ちると、
高い竿の先端から一つの旗が落ちる。
敬愛された友人が
危険な先端から直角に落ちた。
ガラスをつらぬく夜の光のように
またゝくまに。
近くまた ひとりの友が
抛物線の形で
危険な先端から落ちるのを
放心して知らねばならない。

笹沢美明
「仮説のクリスタル」所収
1966

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