僕は生きられる

僕は生きられるだろう
僕は生きる
白菜の肌を舐めまわす
朝のかまどの火のように

僕は生きられるだろう
僕は生きる
夜ふけの皿の煮凝のように
肉と骨から完全に分離されて

僕は生きられるだろう
僕は生きる
中途でよじれちぎれながら
物をつかんでいる
枯れた蔓草のように

僕は生きられるだろう
僕は生きる
ただひとりでも僕は生きる
枯草の中で僕をつまずかせる
石のような
自分の生を確かめて

木下夕爾
「定本 木下夕爾詩集」所収
1966

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