あなたをじっとみていると
私は真実だけになりました

あなたが濡れているときは
私も濡れてゆれました

あなたにふれると氷のように
私はつめたく隔てられ

あなたはいつか私になり
私があなたになったとき

あなたはひとりみまかって
私は私を失いました

いまは思い出のかけらばかり
毀れたあなたのかけらばかり

野田宇太郎
「夜の蜩 野田宇太郎全詩集」所収
1966

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