鬼わたり 死んでいこうとするのと ひきとめようとするのと ふたりきりの病室になると まるで恋人たちのように春めいてきて うす青い草っぱのように 風になびいてしまうのだ 鬼がわたっているためだろうか 岡安恒武 「湿原 岡安恒武詩集」所収 1971