おんなは
へそのおを
貝をちりばめたふくろにたたみ
ちぶさにあてがっていた
発見されて
こどもは死にましたと
泣いた
それもうそだと
おとこはおんなをけっとばし
あやしげな酒場で
めちゃくちゃにおどっていたが
おんなを死なせてはならぬと
かけもどり
へそのおを焼かせた
そのときから
おとこはわかれたがったが
わかれれば死ぬとおもい
なんねんもいっしょにくらしたあげく
なぜ死なせてはならぬのか
とうとうわからぬままに
旅さきで死にたえ
おんなは死に目にもあえなかったが
やがて再縁さきで
りっぱににどめのこどもをうんだ
会田綱雄
「鹹湖」所収
1957