日々

小鳥がいて
黒猫の親子がいて
庭には犬がいて

夕方の買いものは
小鳥のための青菜と
猫のための小鯵と
犬のための肉と
それに
カレーライスを三杯もおかわりする
息子がいた
あのころの買い物籠の重かったこと!

いまは 籠も持たずに表通りに出て
パン一斤を求めて帰って来たりする

みんな時の向こうに流れ去ったのだ
パン一斤の軽さをかかえて
夕日の赤さに見とれている

高田敏子
薔薇の木」所収
1980

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