長崎ぶり

袖にのこりし南蛮の花手拭よ、

染めた模様の唐草は

誰がうつり香ぞ、にほひあらせいとう。

蘆会、蛮紅花、天南星、

平戸、出島の港ぐさ、

たはれ乙女の花言葉。

いざ赤き実を吸ひたまへ。

口はただれて血をはかむ。

牛胆、南星、めるくうる。

南無波羅葦増雲善主麿。

 

木下杢太郎

1912

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