「空っぽ」こそ役に立つ

粘土をこねくって
ひとつの器をつくるんだが、
器は、かならず
中がくられて空になっている。
この空の部分があってはじめて
器は役に立つ。
中がつまっていたら
何の役にも立ちやしない。

同じように、
どの家にも部屋があって
その部屋は、うつろな空間だ。
もし部屋が空でなくて
ぎっしりつまっていたら
まるっきり使いものにならん。
うつろで空いていること、
それが家の有用性なのだ。

これで分かるように
私たちは物が役立つと思うけれど
じつは物の内側の、
何もない虚のスペースこそ、
本当に役に立っているのだ。

加島祥造
タオ──老子」所収
2000

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