蜜はなぜ黄色なのか

蜜はなぜ黄色なのか?
永遠に
瞑想的でなく
愛することもなく
虎のように
フォルムを所有する
秋の青空はあくまで疾走し
眼と眼は暗く
向きあった男と女の立体感覚!
内臓へまでとどく
四つの腕の様式美
求めている森の
紅葉の錦
いま近づけば発火する?
格子を出てゆく金蠅
かくてモノトーンの夜を
なまめかしい水槽で
恋する幽霊
水の回転する泡の苦界の
男声・女声
ながながと哭く老婆
ながながと鳴くウグイス
白地に赤く
燃えるランジェリー
燃えるフロア
コカコーラの壜のうしろの沖を
走るあらゆる船は静止し
蜜のような物質で
徐々に包まれる

吉岡実
神秘的な時代の詩」所収
1974

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