きみの右手が
おれのひだりを打つとき
おれの右手は
きみのひだり手をつかむ
打つものと
打たれるものが向きあうとき
左右は明確に逆転する
わかったな それが
敵であるための必要にして
十分な条件だ
そのことを確認して
きみは
ふりむいて きみの
背後を打て
石原吉郎
「斧の思想」所収
1970
きみの右手が
おれのひだりを打つとき
おれの右手は
きみのひだり手をつかむ
打つものと
打たれるものが向きあうとき
左右は明確に逆転する
わかったな それが
敵であるための必要にして
十分な条件だ
そのことを確認して
きみは
ふりむいて きみの
背後を打て
石原吉郎
「斧の思想」所収
1970
石原吉郎さんの詩を初めて拝見しました。
右と左の思想を超えて、背後から忍び寄る敵を見定めよ、ということでしょうか?
生き抜くためのスリリングな瞬間を言葉にした詩だと思いました。
私たちはこのような緊張する瞬間を生きているでしょうか。(弛緩していやしないでしょうか)