トラックが来て私を轢いた時

 トラックが来て私を轢いた時、私の口からは「飢えたる魂」がとび出す。私の肋骨からははめられていた格子が解かれて「自由」が流れだす。
 トラックが轢かないうちは、それはただの他人とみわけがつかない。
 だから詩を書くことはトラックに轢かれる位の重さだと知ってもらいたい。あんまり手軽には考えてほしうない。

永瀬清子
短章集「蝶のめいてい」所収
1977

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