学校から帰ってきた ぼくの
足音めがけて
クロが とっしんしてくる
めちゃなきの
めちゃかみの
めちゃめちゃなめだ
ぼくを待ちくたびれながら
そこらに書きちらしたらしい
でたらめの「すき」という字を
なん百 なん千
はねちらかし けちらかし
ぼくはクロをだいて
山のように どっかと座って
世界中を にらみまわしてやる
もしも ライオンとトラとヒョウと
オオカミとワニが
一どに
クロにとびかかってきたいのなら
いつでもこい! というように
まどみちお
「まめつぶうた」所収
1973
日常のヒトコマも、瑞々しい感性で言葉にすると、こんな素敵な詩になるのですね。子どもの心を持ち続けた詩人が羨ましい。