棒高跳び

彼は地蜂のように
長い棒をさげて駆けてくる
そして当然のごとく空に浮び
上昇する地平線を追いあげる
ついに一つの限界を飛びこえると
彼は支えるものを突きすてた
彼には落下があるばかりだ
おお 力なくおちる
いまや醜く地上に顛倒する彼の上へ
突如 ふたたび
地平線がおりてきて
はげしく彼の肩を打つ

村野四郎
体操詩集」所収
1939

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