晩夏

停車場のプラットホームに
南瓜の蔓が葡いのぼる
閉ざれた花の扉のすきまから
てんとう虫が外を見ている
軽便車が来た
誰も乗らない
誰も下りない
柵のそばの黍の葉つぱに
若い切符きりがちょっと鋏を入れる

木下夕爾
「定本 木下夕爾詩集」所収
1966

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