青い夜道

いっぱいの星だ
くらい夜道は
星空の中へでも入りそうだ
とおい村は
青いあられ酒を あびている

ぼむ ぼうむ ぼむ

町で修繕した時計を
風呂敷包みに背負った少年がゆく

ぼむ ぼむ ぼうむ ぼむ・・・

少年は生き物を背負っているようにさびしい

ぼむ ぼむ ぼむ ぼうむ・・・

ねむくなった星が
水気を孕んで下りてくる
あんまり星が たくさんなので
白い 穀倉のある村への路を迷いそうだ

田中冬二
「青い夜道」所収
1929

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