はじまりはひとつのことば

それは「ぼく」だったかもしれない
それは「そら」だったかもしれない
「あした」だったかもしれない
ひかりがはじけ あたりにとびちって

ひとつのことばのたねのなかには
きがもりがまちがひそんでいた
ひとつのことばのたねのなかで
ものがたりがはじまりをまっていた

どろだらけのしゃつ
ぬりえのかいじゅう
おとうさんのおさけくさいくしゃみ
おかあさんのおろおろ
あさやけとゆうやけをくりかえし
やがてぼくはおおきなふねをつくるだろう
さがしあてたいせきのかべをよじのぼるだろう

どんなげんじつもつくりおこせる
いつもはじまりはひとつのことばだから
しずかなゆきのはらにひびきわたる
おおかみのとおぼえのような

覚和歌子
はじまりはひとつのことば」所収
2014

2 comments on “はじまりはひとつのことば

  1. 「はじまりはひとつのことば」は覚和歌子さんの許諾をいただいた上で掲載しております。
    無断転載はご遠慮ください。

    この詩を読んで興味を持たれた方は下記も参照してください。

    覚和歌子公認公式ファンサイト 風雲うたよみギムナジウム
    http://kaku-wakako.com/top.php

    覚和歌子 Twitter
    https://twitter.com/momolaunch

    ほぼ日刊イトイ新聞の谷川俊太郎さんとの対談記事
    http://www.1101.com/dakarakarada/

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください