山鴫

谷間は暮れかかり
燐寸を擦ると その小さい焔は光の輪をゑがいた

やうやく獲た一羽の山鴫
まだぬくもりのある その山鴫の重量に
私はまた別の重いものを感じた

雑木林を とびたった二羽の山鴫
褪せかけた夕映が銃口にあった

田中冬二
「晩春の日に」所収
1961

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