海浜独唱

ひとりあつき涙をたれ
海のなぎさにうづくまる
なにゆゑの涙ぞ青さ波のむれ
よせきたりわが額をぬらす
みよや濡れたる砂にうつり出づ
わがみじめなる影をいだき去り
抱きさる波、波、哀しき波
このながき渚にあるはわれひとり
ああわれのみひとり
海の青きに流れ入るごとし

室生犀星
抒情小曲集」所収
1918

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