リンゴを ひとつ
ここに おくと
リンゴの
この 大きさは
この リンゴだけで
いっぱいだ
リンゴが ひとつ
ここに ある
ほかには
なんにも ない
ああ ここで
あることと
ないことが
まぶしいように
ぴったりだ
まど・みちお
「まめつぶうた」所収
1973
リンゴを ひとつ
ここに おくと
リンゴの
この 大きさは
この リンゴだけで
いっぱいだ
リンゴが ひとつ
ここに ある
ほかには
なんにも ない
ああ ここで
あることと
ないことが
まぶしいように
ぴったりだ
まど・みちお
「まめつぶうた」所収
1973
鮮やかなりんごの赤がうかびあがってくるような。かんたんなことばでつくる宇宙
まど・みちおさんの詩に着目したのは、この詩がきっかけでした。哲学的な問いかけがなされているような気がして、すごい深い意味の詩だなと思いました。それにしても、リンゴの赤い色(青かもしれませんが)が鮮やかですね。数がひとつというのも効いていると思います。