ふらふらと

たつた一つしかない猿股を
洗つてほしておいたら
ぬすまれた。
仕方はない!
なんにもはかないで
ふらふらと
職をさがしてあるいた。
十月ももう末の頃
秋風が股からひやひやと
ひとへものでは寒かつた。

木山捷平
」所収
1927

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